企業がSNSの運用を始めるうえで最も大切なことは、配信するコンテンツのプランやスケジュールを立てることです。
また、運用を開始する前に予め投稿のルールやガイドラインを策定することも重要です。そうすることで、担当者が変わった際もコンテンツの品質を保ったり、発言してはいけない内容を自分で正しく判断できるようなったりします。
今回はSNSアカウントの運用を検討している企業の方に向けて、運用方針の策定方法についてご紹介していきます。
本記事を参考にして、SNS運用をする際のプランやスケジュール、ルールやガイドラインを決めていきましょう。
ステップ1:活動するSNSを決める
現在、日本で使われている代表的なSNSとしてTwitter,Instagram,Facebookの3つが挙げられます。
これらのSNSにはユーザー層や相性の良いサービスなど、それぞれに特徴があります。
ここでは、各々のSNSの特徴について紹介しますので、自社のサービスがどのSNSに向いているのかを考えながら確認していきましょう。
主なユーザーの年齢層は10代〜30代です。ハンドルネームの使用やイラストのアイコンなどが利用され、匿名性が高いため本音が飛び交います。RT(リツイート)やいいねをされると、そのユーザーと繋がっているユーザーのTL(タイムライン)にも投稿が流れるため、拡散をした時の爆発力が強いというのがTwitterの特徴です。
速報性が特に高いSNSなので、投稿頻度が高い場合の使用に向いています。
主なユーザーの年齢層は20代〜30代で、男性よりも女性の利用率が高いSNSです。画像や動画が主な投稿コンテンツとなります。通常リンクなどは貼れませんが、ECサイトへ移動して購入に結びつける機能があります。
視覚に訴えやすい商品やサービスを持っているのであれば、Instagramは相性の良いSNSであるといえるでしょう。
主なユーザーの年齢層は20代〜50代と幅広いですが、10代のユーザーはほとんどいません。主要な SNSの中では最もリアルとの結びつきが強く、本名や出身校、勤務先などが公開されています。投稿できるメディアの種類が多く、字数制限もないため自由度の高いSNSであるともいえるでしょう。
リアルとの結びつきが強いというメリットがある一方で、本名や経歴、顔が出てしまっているので本音は引き出しにくいという面もあります。
ステップ2:投稿プラン・スケジュールの決定
活動するSNSを選定したら、今後の投稿頻度を決定しましょう。
投稿頻度やスケジュールを立てることはSNSアカウントを運用するうえで大切なことです。
ここからは、投稿を継続するために社内で把握しておくべき点やスケジュールの決め方について解説していきます。
投稿を継続するためにまず考慮すべきこと
投稿頻度を決定する際には「継続的な投稿」ができるように、下記のような点を考慮しましょう。
- どれだけの時間やリソースを確保できるのか
- 競合他社のアカウントはどれくらいの頻度で投稿しているのか
- 現在のユーザーのエンゲージメントはどれくらいか
- 現在どれくらいのコンテンツをすでに投稿しているか
投稿頻度の正解はありませんが、目安として週3回以上は投稿したいところです。
この数を下回ると、いずれのSNSでも存在感のアピールが薄れがちになってしまいます。
ただ、コンテンツで重要なのは「量より質」です。
もちろん、ある程度の量は必要にはなりますが、質の低いコンテンツを大量に投稿しても、自社のブランドイメージを下げるだけで、良いことはありません。
数を追ってむやみに投稿するのではなく、質の高いコンテンツを作れるようにしましょう。
1週間のルーティンの策定
1週間のうち何曜日にどんなテーマを投稿するかを予め決めておくと、コンテンツのストックが作りやすくなり、その後の運営がスムーズになります。
例えば、月曜日は最新記事のリンクをシェア、火曜日は関連記事をシェア、木曜日は過去記事を再投稿というように、情報の発信日を先に決めます。
そして、それ以外の日をストック用のコンテンツの作成日にすると、1週間のタスクをルーティンとして回すことができます。
商品発売日や会社の創設記念日をスケジュールに追加
商品の発売日や会社の創設記念日など、アピールしたいものの日程を予め把握しておくことも、SNSアカウントを運用するうえでは大切なことです。
発売日や記念日の存在をさらに周知するために、キャンペーンなどを行うのも効果があります。
特にTwitterには爆発的な拡散力があり、キャンペーンなどを行うことで潜在的な顧客にリーチすることが可能です。
また、発売日や記念日の当日だけではなく数日前からのカウントダウンなどを行うと、ムードも高まるため、より効果的になるといえるでしょう。
恒例行事や記念日をスケジュールに盛り込む
バレンタインやクリスマスなどのメジャーな記念日だけではなく、世間ではあらゆる恒例行事や記念日が毎日のように制定されています。
自社のサービスや商品に絡められそうな恒例行事や記念日があれば、ピックアップしておきましょう。
SNSアカウントを運用する場合、そのときどきのトレンドは非常に大事になります。季節感のある投稿はやはり拡散されやすい傾向にあります。
例えば、クリスマスが近づけばケーキやプレゼントのニーズが高まるので、それらに関連した投稿は伸びやすくなります。また、春先の場合は、お花見や新生活に関連するような商品の投稿が伸びやすくなるでしょう。
このようにトレンドの力を借りることで既存のファンだけではなく、これまでと違う層にもリーチできる可能性が広がります。
ステップ3:コンテンツのストックを貯めておく
事前に制作できるコンテンツは、制作を進めてストックを貯めておくと良いでしょう。
SNSアカウントの運用でもったいないのはコンテンツのネタ切れを起こしてしまい、投稿がストップしてしまうことです。
また、企業によってはSNS担当者が1人しかいないこともあるかと思いますが、何らかのトラブルが起こって担当者が対応できない状況になると、投稿が突然パッタリと止まってしまう恐れもあります。
このような場合でも、コンテンツのストックがあれば、すぐに対応できるので安心です。
ただし、SNSのトレンドは移り変わりが激しいものです。トレンドに応じて、ストックしたコンテンツを都度差し替えられるように準備しておくのが賢明でしょう。
投稿ルール・ガイドラインの策定方法
SNSアカウントを運用する際のルールを策定しておくと、発信するコンテンツの質を担保したり、炎上を未然に防いだりすることができます。
ここからは、投稿ルールや注意点について解説していきます。以下のような点に気を付けて運用ルールを策定しましょう。
方法①:各SNSの規定を守る
SNSアカウントを運用するうえでは、活用するSNSの規定を守る必要があります。
例えば、Facebookには以下のような投稿を禁止するという規定があります。
- 犯罪行為の助長や宣伝
- 規制対象商品の掲載
- 危険な人物及び団体との関わり
- 暴力行為の扇動
- 不正行為及び詐欺
こちらはFacebookの例ですが、その他SNS(Twitter・Instagram)にもそれぞれ利用に関する規定があります。
それらに抵触すると企業のブランドイメージを下げるだけでなく、アカウントが停止されてしまう可能性が高くなります。
SNSアカウントを運用する際は、自社のアカウントで使用するSNSの利用規約をきちんと確認し、それらに抵触しないように注意しましょう。
方法②:過去の炎上した事例からNGを学ぶ
倫理・モラルを欠いた表現や、担当者の個人的な意見による政治的主張などを投稿し、炎上した企業があります。
例えば、一時期問題となったのが「バイトテロ」といわれる一連の事案です。飲食店などのアルバイト従業員が、職場の商品や機材を使用して遊んでいる様子を撮影しSNSにアップしました。
それにより当該の従業員だけではなく、企業全体のイメージが大幅に下落しました。なかには、該当店舗の収益が下がり、閉店に追い込まれた例もあります。
炎上したコンテンツは削除されていることがほとんどですが、まとめサイトやニュースメディアでは過去に炎上した事例の経緯を確認することができます。
炎上するコンテンツの傾向をよく理解したうえで、同じ失敗をしないようようにしましょう。
方法③:情報漏洩に対して指導する
SNSアカウントを運用する際は、担当者だけではなく、企業全体で情報漏洩に対しての意識共有や、指導を行うことが大切です。
なぜなら、本人も気づかないうちに、誤って社外秘の情報を投稿してしまう恐れがあるからです。
実際の事例としては、ホテルの従業員がそのホテルに宿泊した芸能人のことを「○○がうちのホテルに泊まった!」とSNSに投稿したという事案があります。
これは、顧客情報の漏洩にあたるので、もちろんNGです。
発信して良い情報と発信してはいけない情報の線引きをガイドラインなどで明確にし、企業全体で同じ認識を共有できるようにしましょう。
SNSの運用は計画性を持って慎重に!
拡散する力を持っているSNSアカウントの運用は企業PRに向いています。ですが、運用に関する計画性がなければ、途中でコンテンツの提供が止まってしまったり、うっかり投稿した内容で炎上してしまったりする可能性もあります。
SNSは企業のブランディングや商材の周知に大きな効果をもたらしますが、誤った運用は自社の首を絞めることにも繋がります。
企業のSNSアカウントを運用する際は、投稿に関するスケジュールや内容の確認、また使用するSNSの利用規約を企業全体で把握して、運用方針を明確にして行いましょう。